ジンとドライジンの違い

ジンは、ジュニパーベリー(杜松の実)を主要なボタニカルとして使用して製造されるクリアなスピリッツです。近年、ジンはその多様性とユニークな風味のために世界中で非常に人気があります。この記事では、ジンの主要なスタイルとその違い、特に「ジン」と「ロンドンドライジン」の違いに焦点を当てて解説します。

目次

ジンの定義

ジン (Gin) は、アルコール飲料の一種で、その特徴的な風味はジュニパーベリー(杜松の実)に由来します。ジンの名前は、オランダ語の「jenever」やフランス語の「genièvre」から来ており、どちらもジュニパーベリーを意味します。

  1. 原料: ジンの基本的な原料は、農業由来のエタノールです。このエタノールは、麦、トウモロコシ、ライ麦、ジャガイモなどのさまざまな穀物や植物から得られます。
  2. ジュニパーベリー: ジンの主要な風味を形成するのはジュニパーベリーです。ジュニパーベリーは、松のような香りとスパイシーな風味を持っており、ジンにその独特の風味をもたらします。
  3. ボタニカル: ジンの製造過程で、ジュニパーベリーの他にもさまざまなボタニカル(植物由来の成分)が使用されます。これには、柑橘類の皮、コリアンダーシード、アンジェリカルート、オリスルート、ラベンダー、ローズマリーなどが含まれます。これらのボタニカルは、ジンの風味や香りの層を形成します。
  4. 製造過程: ジンは、ボタニカルを浸漬または蒸留することで製造されます。ボタニカルはエタノールに浸漬され、その後、蒸留過程を経てジンが得られます。この蒸留過程で、ボタニカルからの風味や香りがエキスとして取り出され、ジンに移されます。
  5. アルコール度数: EUの規定によれば、ジンの最低アルコール度数は37.5%である必要があります。
  6. 種類: ジンにはさまざまな種類やスタイルがあり、それぞれに独自の製造方法や風味があります。例えば、ロンドンドライジン、ニューウェスタンジン、オールドトムジンなどがあります。

ロンドンドライジンとは

ロンドンドライジンは、ジンの中でも特に人気のあるスタイルの一つであり、その名前が示すように、イギリスのロンドンで発祥したとされています。しかし、ロンドンドライジンはロンドンで製造される必要はありません。実際、この名前はスタイルを示すものであり、製造地を示すものではありません。

  1. 天然のボタニカルのみ: ロンドンドライジンは、ジュニパーベリーをはじめとする天然のボタニカルのみを使用して製造されます。化学的な香料や添加物は使用されません。
  2. 甘味料の追加なし: 蒸留後に甘味料を追加することは許されていません。これにより、ロンドンドライジンはクリアでクリスプな風味が特徴となります。
  3. ジュニパーベリーの風味: ジンの定義として、ジュニパーベリーの風味が主体となることが求められますが、ロンドンドライジンではこの風味が特に強調されます。
  4. 製造方法: ロンドンドライジンは、ボタニカルをアルコールとともに蒸留鍋に入れ、一緒に蒸留することで風味を抽出します。この方法により、ボタニカルの繊細な風味や香りがジンに移されます。
  5. アルコール度数: 通常、ロンドンドライジンのアルコール度数は40%以上ですが、ブランドや製造者によっては、それ以上のアルコール度数のものもあります。

ジンの主要なスタイル

  1. ニューウェスタン/ニューワールドジン:
    • 特徴: 伝統的なジンのボタニカルに加えて、地域やブランド独自のユニークなボタニカルを使用して製造されるジン。
    • 風味: ジュニパーベリーの風味が控えめで、他のボタニカルの風味が前面に出ることが多い。
  2. プリマスジン:
    • 特徴: イギリスのプリマスでのみ製造されるジンで、ロンドンドライジンよりも柑橘系の風味が強い。
    • 風味: 甘みと柑橘系の風味が特徴。ジュニパーベリーの風味もしっかりと感じられる。
  3. ネイビーストレングスジン:
    • 特徴: アルコール度数が57%以上のジン。名前の由来は、昔のイギリス海軍が火薬と一緒に保管していた時、火薬が濡れても点火するアルコール度数であることから。
    • 風味: アルコール度数が高いため、強烈な風味とキックがある。
  4. オールドトムジン:
    • 特徴: 18世紀のジンクレイズ時代に人気だった甘みのあるジン。名前の由来は当時のパブに掛けられた猫の絵(Old Tom)から。
    • 風味: 甘みがあり、ハーブやスパイスの風味が感じられる。
  5. ジェネバ:
    • 特徴: ジンの前身とされるオランダのスピリッツ。麦芽ワインをベースに蒸留される。
    • 風味: マルチーで、ジンよりも風味が重く、深みがある。
  6. スロージン:
    • 特徴: ジンベースのリキュールで、スローベリー(野生のプラム)で風味をつけたもの。
    • 風味: 甘く、フルーティーな風味が特徴。

ジンのブランドとその特徴

  1. ビーフィーター (Beefeater)
    • 創業: 1863年、ロンドン
    • 特徴: ビーフィーターは、ロンドンで最も古いジンブランドの一つとして知られています。ジュニパーベリーを中心に、9種類のボタニカルを使用して製造されています。クリアでクリスプな風味が特徴で、多くのバーでスタンダードとして使われています。
  2. タンカレー (Tanqueray)
    • 創業: 1830年、ロンドン
    • 特徴: タンカレーは、緑色の特徴的なボトルで知られるジンブランドです。4つのボタニカル(ジュニパーベリー、コリアンダーシード、リカリス、エンジェルルート)を使用して製造されており、そのシンプルなレシピが高品質なジンを生み出しています。
  3. ボンベイ・サファイア (Bombay Sapphire)
    • 創業: 1987年
    • 特徴: ボンベイ・サファイアは、10種類のボタニカルを使用して製造されるジンで、青いガラスのボトルが特徴的です。柑橘系の風味が強く、フレッシュでスムーズな口当たりが特徴です。
  4. ゴードン (Gordon’s)
    • 創業: 1769年、ロンドン
    • 特徴: ゴードンは、ロイヤルワラントを取得している歴史あるジンブランドです。ジュニパーベリーの強い風味と、シャープでドライな口当たりが特徴。多くのカクテルのベースとして使用されています。
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