ジンは、4大スピリッツのひとつとして知られる蒸留酒で、穀物を原料としています。特に、ジュニパーベリーというボタニカル(草根木皮)を加えて再蒸留されることで、爽やかな香り立ちと切れ味の良い風味が特徴的です。16世紀ごろにオランダで嗜好品として広まり、ジンの原型が生まれました。その後、18世紀にイギリスで拡大し、アメリカにも伝わりました。
ジンの製造方法と特徴
ジンの製造方法は、連続式蒸溜機で蒸溜したグレーンスピリッツに、ジュニパーベリーや他のボタニカルを加えて再蒸溜することで完成します。再蒸溜には、ボタニカルを加えて単式蒸溜器で蒸溜する方法や、ジン・ヘッド内部にボタニカルを詰めて抽出する方法があります。
ジンの製造工程
- 発酵:原料を発酵させることで、アルコールが生成されます。この発酵プロセスは、特定の温度と環境下で行われます。
- 連続式蒸溜機での蒸溜:発酵後の液体は、蒸留プロセスを経てアルコール度数を上げることができます。この蒸留プロセスは、発酵させた原料を高温に加熱し、アルコールと水分を分離することで行われます。
- ボタニカルの追加と再蒸溜:ジュニパーベリーや他のボタニカルを加えて再蒸溜します。再蒸溜には、ボタニカルを加えて単式蒸溜器で蒸溜する方法や、ジン・ヘッド内部にボタニカルを詰めて抽出する方法があります。
ジンの起源と歴史
ジンの起源には諸説がありますが、ジンの起源は中世のオランダとされています。オランダの医師、シルヴィウス(Franciscus Sylvius de la Boe)がジンを発明したと言われています。当時、ジンの主原料として使用されているジュニパーベリーは、風邪やペスト(黒死病)の治療に使われていた医薬品でした。シルヴィウスは、蒸留したシュナップスとジュニパーベリーを合わせて、“Genever”(ジュネヴァ=オランダ語でジュニパーベリーの意味)を作りました。
Genever(ジュネヴァ)は17世紀にイギリスに伝わりました。一説によれば、オランダで戦っていたイギリス兵がジュネヴァを持ち帰ったと言われています。18世紀には、イギリスでのジンの人気が爆発的に広がりました。この時代は「狂気のジン時代」とも呼ばれ、多くの人々がジンに酔いしれました。
しかし、その後のイギリス政府の介入により、ジンの品質が向上し、現在のような高品質なジンが生まれました。近年では、クラフトジンと呼ばれる手作りのジンが注目されています。
ジンの種類と銘柄
ジンにはいくつかの主要な種類があります。特に、タンカレー、ボンベイ・サファイア、ビフィーター、ゴードンなどは、バーのスタンダードなジンとして広く知られています。これらのジンは、マティーニ、ギムレット、ジン・トニックなどの有名なカクテルのベースとして使用されます。
ジンの主な種類
- ロンドンドライジン:最も一般的なジンのタイプで、ジュニパーベリーの風味が強調されています。
- オールドトムジン:甘みを持ち、カクテルに適しています。
- ジュネヴァ:オランダ発祥のジンで、穀物の風味が特徴です。
- クラフトジン:近年のトレンドで、独自のボタニカルを使用しています。
代表的なジンの銘柄
- ビーフィーター(BEEFEATER):ロンドンを代表するジンの一つで、ジュニパーベリーの風味が特徴的です。クリアで爽やかな味わいは、多くのカクテルのベースとして使用されています。
- ボンベイ・サファイア(BOMBAY SAPPHIRE):10種類のボタニカルを使用したプレミアムジンで、繊細で複雑な味わいが特徴です。その美しい青いボトルも魅力的です。
- タンカレー(Tanqueray):四つのボタニカルを使用しており、ジュニパーベリーの香りが際立つロンドンドライジンです。そのクリアでシャープな味わいは、世界中で愛されています。
- ボルス(BOLS) ジュネヴァ:オランダ発祥のジンで、穀物の風味が特徴です。歴史的な製法を受け継ぐこのジンは、深い味わいと香りが楽しめます。
ジンをベースにしたおすすめカクテル
ジントニック
ジントニックは、ジンとトニックウォーターを主成分とするカクテルです。さわやかな香りとすっきりとした飲み口が特徴で、特に暑い季節には最適なリフレッシュドリンクとして人気があります。ジントニックの起源は、イギリスの大英帝国時代にさかのぼります。マラリア予防のためにキニーネ入りのトニックウォーターを飲む習慣があり、それにジンを加えて飲むようになったのが始まりとされています。
材料
- ジン:30ml
- トニックウォーター:120ml
- 氷:適量
- ライム:1切れ(オプション)
作り方
- グラスに氷を入れる。
- ジンを注ぐ。
- トニックウォーターを加えて、軽くステアする。
- オプションでライムを添える。
ジンバック
ジンバックは、ジンを主成分としたカクテルの一つであり、ジンとジンジャーエールを組み合わせたシンプルながらもスパイシーな味わいが特徴です。このカクテルは、その名前からもわかるように、ジンをベースにジンジャーエールで割ったものです。しかし、このシンプルな組み合わせが、独特の風味とキックを持つことから、多くのカクテル愛好者に愛されています。
材料
- ジン:45ml
- ジンジャーエール(またはジンジャービア):90ml
作り方
- グラスに氷を入れ、ジンとジンジャーエールを注ぐ。かき混ぜて完成。
ジンリッキー
ジンリッキーは、19世紀後半のアメリカで生まれたとされるカクテルです。ジンをベースに、ライムジュースと炭酸水を加えることで、シンプルながらも爽やかな味わいを持つカクテルとして知られています。
材料
- ジン :45ml
- ライムジュース :90mL
- ソーダ :適量
- ライム:一切れ
作り方
- グラスに氷を入れる。
- ジンを注ぐ。
- ライムジュースを注ぐ。
- 炭酸水を適量注ぐ。
- 軽くかき混ぜる。
- ライムのスライスを添えて完成。
ジンフィズ
ジンフィズは、1888年に生まれたとされるカクテルで、レモンスカッシュにジンを加えて作られました。日本では炭酸が弾ける様子を「シュワー」と表現しますが、欧米ではこの様子を「FIZZ」と表現することから、「フィズ」と呼ばれます。
材料
- ドライ・ジン:45ml
- レモンジュース:30ml
- シュガーシロップ:5~10mL
- ソーダ:適量
- レモン:一切れ
作り方
- グラスに氷を入れる。
- ドライ・ジンを注ぐ。
- レモン・ジュースを注ぐ。
- シュガーシロップを加える。
- ソーダを適量注ぐ。
- 軽くかき混ぜる。
- レモンのスライスを添えて完成。
マティーニ
マティーニは、ジンベースの著名なカクテルとして知られ、カクテルの王様の異名を持つ。このカクテルは、ジンとドライ・ヴェルモットを主成分としており、シンプルながらも深い味わいが特徴です。マティーニの起源は古く、多くのバリエーションが存在することで知られています。
ヴェスパーやダーティマティーニなど、異なる材料や製法によって、様々な風味や特徴を持つマティーニが楽しめます。特に、ダーティマティーニはオリーブの漬け汁を加えることで独特の風味が生まれるのが特徴です。
マティーニは、そのシンプルながらも奥深い味わいから、多くのカクテル愛好者に支持されています。その歴史やバリエーションを知ることで、さらにマティーニの魅力を深く感じることができるでしょう。
材料
- ジン:45ml
- ドライベルモット:1ml
- オリーブ:1個
作り方
- カクテルグラスを冷やす。
- 氷を入れたミキシンググラスにジンとドライベルモットを注いでかき混ぜる。
- 氷を捨て、オリーブをグラスに入れる。
- ミキシンググラスの中身をグラスに注ぐ。
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